椎間板ヘルニア - 千葉seaside動物医療センター|習志野市津田沼の動物病院(千葉シーサイド)

椎間板ヘルニア

神経科 大﨑 統雄
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椎間板ヘルニアとは

人間でも馴染みが深い病気だと思います。椎間板ヘルニアと聞くと腰を連想しがちですが、実は首でも起こることが多い病気です。ダックスを始めとする小型犬種で非常に多く見られます。本国では小型犬種がかなり多いため、遭遇率は高いです。

椎間板ヘルニアは軽症なものもあれば重症なものもあるため、一概に同じ症状で同じ見た目とは言えません。そのため治療プランや生活指導は多岐に及びます。

一般的には歩けなくなった、もしくは歩き方がおかしくなったことで気がつき来院され、検査して椎間板ヘルニアと仮診断されることがほとんどです。ただしその歩き方も整形疾患(骨や関節などの異常)と見た目で区別されるため獣医師の診察が必要となります。他には震えて動かなくなった、背中を触ると悲鳴をあげるという来院理由も少なくありません。

診断にはMRICTが必要になります。MRIが今日ほど浸透していなかった頃は脊髄造影で診断をしていましたが、椎間板ヘルニアでは無かった場合、診断が出来ないことがあります。どちらも麻酔が必要な検査のため、よほどの理由が無い限りはMRIを勧めています。

椎間板ヘルニアには大きく分けて2タイプあります。一般的に急に症状が出るのが1型、ゆっくりと時間をかけて症状が悪化してくるのが2型であることが多いです。どちらのタイプかによって予後が大きく変わることが多いため、術前の説明をしっかり受ける必要があります。

手術が根本的な治療として選択されます。病変部位や数、重症度によって手術プランが変わるため術前の手術計画が重要です。また、今までの経過や年齢などによって予後に大きく影響するため、これも手術を行うべきかの判断材料になることも少なくありません。1型の手術では脊髄を圧迫している椎間板物質を除去します。2型だった場合は減圧と呼ばれる手技が選択されることがあります。

術後はリハビリや生活環境を整えることが一番の治療となります。方法は十人十色なためその子に合ったやり方をご提案します。

胸腰部椎間板ヘルニア

胸〜腰部の脊髄領域で発症する椎間板ヘルニアを指します。2-6歳の若齢の軟骨異栄養性犬種で好発します。一般的には両後肢の歩き方がおかしくなる、または歩けなくなることで気がつきます。

重症度は、簡潔に言いますと5段階に分類され、グレード5が最も重症かつ緊急性がかなり高いため早急な来院が必要です。現在では発症から48時間以内に手術を行わないと改善がほぼ見込めないと言われております。グレード3以上で後肢を使って歩けなくなります。グレード3〜5の見た目はほぼ同じであり、神経学的検査をしない限り評価ができません。緊急手術にも対応しているため前述した症状が出た場合は可能な限り早い診察を推奨しています。

一方、安静と疼痛管理(内科治療)で改善することもあるため、一概に外科が必要というわけではありません。しかしながらどこを治療のゴールにするかによって外科に進むか、内科で経過観察するかが変わってくるため診察や検査は必須と言えます。MRIなどの画像所見によっても方針や予後が変わることがあるため、ご自身で判断せずまずはご相談ください。

Point

本邦の小型犬での発症が多い疾患

重症度、MRI所見、治療のゴール設定によって治療方針が大きく変わる

グレード1:背部痛のみ グレード2:軽度の後肢不全麻痺(歩けるが動き方がおかしい、フラつく) グレード3:重度の後肢不全麻痺(歩けない、立てない。) グレード4:後肢の表在痛覚なし(歩けない、立てない。後肢の皮膚の痛覚が無くなる) グレード5:後肢の深部痛覚なし(歩けない、立てない。一切の痛覚が無くなる)

頚部椎間板ヘルニア

頚部の脊髄領域で発症する椎間板ヘルニアを指します。10歳前後の軟骨異栄養性犬種での発症が多い疾患です。典型的には強い頚部痛や四肢での歩き方が悪くなります。胸腰部椎間板ヘルニアと異なり前肢にも歩行異常を呈することがあります。

重症度は3段階に分類され、グレード3が最も重症かつ緊急性が高い状態です。決して多くはありませんがグレード3の症例では呼吸不全に陥ることもあるため、術後も人工呼吸が必要になる状況も考えられます。

一般的に頚部痛が強く出る疾患であるため、診断後は首輪を中止したり瞬発力を要する運動を避けるようアドバイスします。

手術は、歩行異常はもちろんのこと、耐え難い頚部痛(グレード1)であっても適応になることがあるため治療方針の相談は必須と言えます。術後の回復が目覚ましい手術の一つであるため内科で改善が無い場合は前向きに検討すべき疾患であると考えます。

Point

胸腰髄椎間板ヘルニア同様に本邦での発症件数は多い

症状、重症度、MRI所見、内科での治療経過によって手術を検討

グレード1:頚部痛のみ グレード2:四肢または片側の不全麻痺(歩けるが動き方がおかしい、フラつく、転びやすい) グレード3:四肢の不全麻痺(歩けない)や呼吸不全

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大﨑 統雄
大﨑 統雄 Norio Osaki (神経科)
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