犬・猫の角結膜移動術とは?
深層性角膜潰瘍・角膜穿孔では外科治療が必要です
角膜潰瘍が深層まで進行すると、角膜の強度が低下し、角膜穿孔に至ることがあります。眼球は眼房水で満たされているため、角膜が穿孔すると眼房水が流出し、前房の虚脱や眼球内容物(虹彩、水晶体など)の脱出を伴うことがあります。
角膜穿孔は眼球の構造と視覚を脅かす状態であり、失明につながる可能性があります。そのため、角膜穿孔や深層に至る角膜潰瘍では、感染や炎症に対する内科治療に加え、角膜の欠損部を修復し、眼球の形態と視覚を維持するための外科治療が推奨されます。

角結膜移動術とは
角結膜移動術は、病変に隣接する健常な角膜を、輪部・結膜との連続性を保ったまま欠損部へ移動させ、縫合する角膜再建術です。
自己の角膜組織を用いて欠損部を補強するとともに、角膜の透明性を可能な限り維持することを目的としています。深層性角膜潰瘍や角膜穿孔に対する術式の一つであり、病変の位置や大きさ、周囲の角膜の状態などを評価して適応を判断します。

眼球の形態を整えるための追加処置
角膜穿孔によって眼房水が流出し、前房の虚脱が強くなると、角膜の形状や張りが失われます。この状態では、移植に用いる角膜を適切な厚さで剥離し、グラフト(移植する組織)を作製することが難しくなります。
そのため当院では、必要に応じてサイドポートと呼ばれる小さな切開口を作り、前房内へ粘弾性物質を注入します。前房の深さと角膜の張りを回復させることで、グラフトを作製しやすい状態に整えます。
グラフトを移動・縫合して角膜の欠損部を修復した後は、前房内の粘弾性物質を洗浄・除去します。角膜穿孔の程度によっては、このような眼球の形態を維持するための追加処置が必要になります。


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