診療科詳細(歯科) - 千葉seaside動物医療センター|習志野市津田沼の動物病院(千葉シーサイド)
消化器科

歯科

dentistry

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歯科

歯科疾患の代表例である歯周病は《静かなる病気》と言われており、病態が極度に進行しない限り口臭以外の症状が現れません。
興味は示すのにフードが食べられない・口から出血しているなどの症状がみられたらすでに重度の歯周病で抜歯するしか術が残っていないことがほとんどです。
現在の動物医療において、歯科疾患は比較的優先度の低い病気という認識がありますが、歯周病が他の病気を引き起こすという論文が報告されているため、歯周病をケアするメリットは大いにあると私は考えています。
皆様のご家族であるワンちゃんネコちゃんが生涯にわたって自分の歯で食事を楽しむお手伝いをさせていただければ幸いです。

歯科 科長
鈴木 圭
獣医師詳細はコチラ

このような症状はお早めにご相談ください

※症状をタップすると詳細が表示されます。

  • 片側の歯で物を噛んでいる
  • 顔を傾けながらご飯を食べている
  • ご飯を食べているときに急に大きな声をあげる
  • 昔食べられていた固い物を食べない
  • 口を開けるのを嫌がる
  • ご飯を食べるのが遅くなった
  • 頭を振ることが増えた
  • 前肢が汚れていたり
  • 前肢でお口周りを気にする
  • ご飯をよくこぼす
  • 性格が怒りっぽくなった
  • 食事中以外のときに歯軋りや顎をガチガチ鳴らしている
  • 鼻血が出る
  • よだれが増えた
  • 口臭が気になる
  • 唇が腫れている
  • 頬や顎が腫れている

診療の流れ

treatment flow

①診察

まず最初に、飼い主様が気になっている点について伺います。
(例:口臭が気になる、歯がグラグラする、クチの中が赤いなど)
その上で、今この子がどんな病気の可能性が高いのか、どういった治療法があるのか、
どの治療法を選んだらどれくらいの料金がかかるのかを説明させていただきます。

②手術日の相談

どういった治療方針か決まったら、次は手術日を決めます。
(歯科に関しての手術はほぼ全て日帰りです)

③術前検査

動物の口の中の検査・診断・治療は麻酔中にしか行うことができません。
そのため、まず麻酔をかけられる状態なのかのチェックを行う必要があります。
血液検査・腹部エコー・心臓エコー・胸部レントゲンを実施し、麻酔リスクの評価を行います。
基本的に手術予定日の2週間以内の実施を推奨しています(それ以上間隔が空くと動物の体内の状態が変化する可能性が高いため)

④手術当日

朝お預かりして、お昼に麻酔をかけます。
検査・診断を行い事前に説明した治療方針に沿って手術を実行しますが、
やむを得ず予定を変更する可能性もあります。

⑤お迎え

検査・診断の結果、どういった手術を実施したかの説明をさせていただきます。
今後のお家でのケアの仕方や、術後の注意点をお話します。

⑥再診

処置内容によっては縫合部位の確認のために再診をさせていただきます。
また、歯を残すための治療を行った場合は経過を確認するために3ヶ月程度で
再度麻酔をかけてレントゲンを撮らせていただきます。

代表的な疾患

disease

【歯周病】

歯周病細菌や免疫細胞の働きにより、歯の周りの組織(歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質)が
侵されていく病気で、3歳以上の猫の70%、犬の80%が程度の差はありますが罹患している病気です。
病気が進行していくと口腔内の違和感や疼痛により食欲が低下することがあります。

【破折】

外傷や硬いものを食べた際に歯が折れてしまうことがあり、これを破折と言います。
この際、多くの症例で露髄(神経や血管が見えている状態)しており、ここから口腔内の細菌が
侵入して感染してしまいます。感染してすぐに症状が出ることはあまりありませんが、将来的に歯の根本に膿が溜まっていくことがあります。その結果、外歯瘻(頬の皮膚から膿が出る)・内歯瘻(頬の内側の粘膜から膿が出る)・口腔鼻腔瘻(口と鼻の境界の骨が溶かされて、鼻から膿が出る)へと進行していきます。ここまで進行すると痛みや皮膚の潰瘍、慢性的な鼻炎症状などが見られます。

【挺出】

高齢の猫の犬歯によくみられる疾患であり、『片側の牙が伸びてきた?』と思った場合は恐らくこの疾患です。
原因は解明されていませんが、歯と歯槽骨を接着する歯根膜という組織が破壊され歯周ポケットが深くなり、
その結果歯周病が進行しやすい環境になります。ぐらつきのみの場合は症状はないことが一般的ですが、
歯周病が進行してきた場合は口腔内の違和感を訴える可能性があります。

【尾側口内炎(歯肉口内炎)】

歯肉及び口腔粘膜の慢性炎症性疾患でFeLVやFIVなどのウイルス、口腔内細菌、免疫異常などが関与していると言われていますが、原因は特定されていません。口腔粘膜(特に後部)の発赤が見られ、口腔内の痛みから元気食欲低下、流涎(よだれが増えること)及び血混じりの唾液の増加、毛づくろいの頻度の低下、下顎リンパ節の腫脹を認めることがあります。

【含歯性嚢胞】

埋伏歯(歯が歯肉もしくは顎骨に埋まっており、正常に萌出していない状態)があると嚢胞内に組織液が貯留し、嚢胞が大きくなる過程で顎骨を溶かしていきます。そのため、この病気を放置すると歯が綺麗で歯周病でもないのに下顎骨の病的骨折を起こしたり、鼻炎症状が治らない可能性があります。似ている見た目のものに欠歯がありますが、こちらはレントゲン撮影をしても歯肉の中に歯は確認できないため治療の必要はありません。

一般的なスケーリングの流れ

①口腔内消毒

スケーリング中に飛散する細菌を減らします。

②口腔内検査と記録(チャーティング)

歯の形や数、色の変化、動揺度、噛み合わせ、歯肉や粘膜の状態を確認します。

③歯科レントゲン撮影

レントゲン撮影を行うことにより肉眼では見えない歯根の状態、欠歯/埋伏歯の有無、顎の骨の骨折のリスクなどを評価します。

④抜歯/歯内治療(必要な場合)

オーナー様とご相談の上で、歯を残すメリットよりデメリットが大きいと判断される場合は抜歯を行います。 継続的な歯科治療とホームデンタルケアが行える場合は、歯を残すための歯内治療や歯周外科治療もご提案させていただきます。

⑤ルートプレーニング

歯周病細菌の毒素により汚染されたセメント質を除去し、歯根の表面を滑らかにします。

⑥キュレッタージ

炎症の起きている歯肉を除去し、セメント質との正常な接着を促します。

⑦ポリッシング

スケーリングにより歯石・歯垢の除去を行ったエナメル質には凸凹があり、そのままだと歯科処置を行う前の歯よりも汚れが付きやすくなっています。 ポリッシングにより表面の凸凹をなくし、歯垢・歯石の再付着を予防します。

⑧洗浄

歯科処置により飛散した細菌や血液を除去し、口腔内を綺麗にします。

⑨歯周ポケットへの貼薬

お薬を塗り、歯周病細菌の繁殖を予防します。

治療・手術例

surgical example

発達溝充填処置

ワンちゃん・ネコちゃんともに上の奥歯に歯石が付きやすく、そこから歯周病の悪化や口内炎が惹起されることがあります。なぜその部位に歯石が付きやすいか?それは奥歯にある深い溝が関係しています。深い溝にはなかなか歯ブラシの毛先が入りにくく、歯磨きシートだと全く届きません。そこで歯科治療の際、もしくは避妊・去勢手術の際にこの溝を埋める処置を提案させていただいております。こうすることで歯ブラシはもちろん、歯磨きシートのケアでも歯石の蓄積を抑えることが可能となります。(※歯周ポケットへの歯磨きの必要性がなくなる訳ではありません)

抜髄治療

破折・齲蝕・内部歯根吸収の際に行う治療法です。歯髄を抜いて細菌による感染もしくは歯髄の壊死から歯を守り歯を温存することができます。歯がなくても動物はご飯を食べられる、というのは確かに間違いありませんが、ヒトと同様に歯がないと食べられるものが限られてしまいます。好きな食べ物を噛んで食べる、好きなオモチャを噛んで遊ぶために歯を残すという選択肢もありますので、お気軽にご相談ください。

ディスキング

歯周病治療や歯周病の予防、歯列矯正の際に行う処置で、歯を薄く削ることで歯と歯の隙間を確保する処置を指します。特に小型犬では顎の骨が小さいため歯が叢生していることがあり、その場合、歯と歯の空間が狭いため歯間歯肉がなく歯周病が進行しやすい状態になっています。そこで、ディスキングにより歯間部の空間を作って上げることで歯間歯肉ができ、歯周病のリスクを減らすことができます。

スケーリング

歯垢・歯石を落としてキレイにする一般的な治療ですが、当院ではマイクロスコープという顕微鏡を使用しています。これにより肉眼での治療以上に歯垢・歯石の取り残しを防ぐことができます。歯を残すための歯周外科治療の対応もできますのでお気軽にご相談ください。

全臼歯抜歯・全顎抜歯

猫ちゃんの尾側口内炎の際に行う手術です。この病気は歯に付着したわずかな歯垢に対する過剰な免疫反応の結果引き起こされると考えられているため、歯垢が付着する歯そのものをなくすことで治癒が期待できます。全臼歯(犬歯より後ろの歯)抜歯だと60〜70%、全顎抜歯だと95%で症状の改善を期待できます。ただし、術前に長期間のステロイド投与を行なっていると治癒率が下がりますので、早めの治療をお勧めします。

埋伏歯抜歯

レントゲンで埋伏歯を確認できた際に行います。
治療としては単純に思われるかもしれませんが、再発防止のために嚢胞壁を完全に取り除く必要があったり、さらに下顎犬歯の埋伏歯は下顎骨の骨折に細心の注意を払いながら行う必要があるため非常に難しいです。かかりつけ病院で指摘されたけど、抜歯はできないと言われた場合でも当院で対応いたしますのでお任せください。

歯肉粘膜フラップ

抜歯を行なった際に歯があった空間(以下、抜歯窩)をそのままにしてしまうと『ドライソケット』という状態になってしまい口腔内に痛みを感じることがあります。そのため、抜歯する周囲の歯肉を切開・剥離した上で反対側の粘膜と縫い合わせますが、これを歯肉粘膜フラップと言います。覆い隠すだけでなく、粘膜からの出血が抜歯窩に溜まることで血餅となり、周りの組織から血餅へ毛細血管が新生され、さらに血管から骨の元になる成分が滲み出ることで抜歯窩の修復を促すことができます。

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