
犬の原発緑内障の内科治療について

目次
緑内障とは眼圧上昇により視覚障害を引き起こす疾患である
眼房水の排泄障害で眼圧上昇が起こる
眼球内は眼房水といわれる透明な血液で満たされています。眼房水は毛様体色素上皮で血液から作られます。血液が眼内へ入らないように血液房水関門が存在し血液を透明な眼房水へと変える働きをしています。作られた眼房水は後眼房(水晶体と虹彩の間)→前眼房(角膜と水晶体の間)へ流れ、最終的に隅角(虹彩角膜角)から排泄され全身循環へと戻っていきます。すなわち眼をお風呂に例えると、蛇口(毛様体色素上皮)と排水溝(隅角)が存在し、緑内障は排水溝が何かしらの理由で詰まってしまいお風呂の水が溢れる(=眼圧上昇)といった病態です。
眼房水の産生について
眼房水の産生において炭酸脱水素酵素と交感神経(α1受容体、β受容体)が関与しています。すなわち眼房水の産生を抑えるには(蛇口をひねる)には、炭酸脱水素酵素阻害剤、β受容体遮断薬を使用することが多いです。
眼房水の排泄について
眼房水の眼球内からの排泄は隅角を経て全身循環に排出されます。排泄経路には主経路と副経路(ぶどう膜強膜流出路)の2パターンが存在します。副経路は動物種によって排出量が異なり、主経路に対して人では10-15%、犬では15%、猫では3%、うさぎでは13-25%の割合です。犬でよく使用するプロスタグランジン製剤は主にこの副経路(ぶどう膜強膜流出路)からの房水排出量を増加させます。

蛇口をひねるor排水溝を広げるのが緑内障の内科治療である
緑内障とは眼房水の排泄障害によって眼房水が眼の中で溢れてしまう病態です。高眼圧は網膜/視神経にダメージを与え不可逆性の視覚障害を引き起こします。緑内障の内科治療では、①蛇口をひねり眼房水の産生を抑える、②排水溝を広げ眼房水の排出量を増やす目的で薬剤を選択します。作用機序の異なる薬剤を組み合わせて使用することで治療効果を高めることができます。

しかし、犬の原発緑内障は内科治療の反応性が悪い疾患である
犬の原発緑内障の初期治療はもちろん内科治療になりますが、ヒトとは違い長期にわたり内科治療で眼圧維持できるケースが少ないのが現状です。眼圧上昇により一度ダメージを受けた網膜/視神経を回復させることは不可能です。
そこで当院では診断した段階で第一選択として隅角インプラント術をご提案しております。現時点での犬の原発緑内障に対する治療(内科治療/レーザー治療/外科治療)の中で最も治療成績が良いと考えられています。
高眼圧が続くと短期間で不可逆的な視覚障害を引き起こす。
内科治療では、作用機序の異なる薬剤を組み合わせることで治療効果を高める。
犬の原発緑内障は内科治療のみで治療することが難しい病気であるため、早い段階で外科治療に踏み切ることが大切である。
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