
動物の病気について
animal diseases
[眼の病気]
〔眼科〕視神経炎
視神経炎は,視神経の炎症のことで急性の視覚障害を引き起こします.片眼に発症することもありますが,通常は両眼に発症します.
【原因】
①感染症・・・犬ジステンパーウイルス感染症,クリプトコッカス,トキソプラズマ,FIPなど
②髄膜炎,髄膜脳炎
③眼球突出に伴う視神経障害
④腫瘍・・・髄膜腫のような視神経原発の腫瘍や,視神経に浸潤するような眼窩腫瘍
⑤特発性・・・いわゆる原因不明の視神経炎のことで,ほとんどは特発性視神経炎と診断される
【症状】
急性の視覚消失・・・見えづらい,ものぶつかる,動かないなど
散瞳(瞳孔が開きっぱなしのこと)
眼底検査の所見としては,下の写真のように視神経乳頭の浮腫,隆起,充血,周囲との境界が不明瞭などが挙げられます.
【鑑別するべき病気】
急性に視覚消失を引き起こす病気として,緑内障,網膜剥離,突発性後天性網膜変性症候群(SARDS)がありますが,眼圧検査や眼底検査を用いて鑑別することが出来ます.
【視神経炎と診断したら?】
視神経炎と診断したら,視神経炎を引き起こしている原因を特定する必要があります.
よって追加検査として,各種微生物の抗原抗体検査,PCR検査や頭部MRI検査,髄液検査が必要になってきます.海外の報告では,15頭の視神経炎の犬のうち8頭で頭部MRI検査で異常所見(造影剤で多発性に増強される病変部あり)が認められました.各種微生物検査(血清&髄液)は全てにおいて陰性でした.
【治療と予後】
全身的なステロイド治療が必要になることが多いです.早期に治療を開始した場合には,視覚を温存できる可能性はあります.