
動物の病気について
animal diseases
〔眼科〕緑内障
【症状】
①眼をしょぼしょぼして痛がっている ②白目が赤く充血している ③瞳孔が開いている ④ものにぶつかって見えづらそうにしいる ④目が大きくなってきている などの症状があれば緑内障の可能性があります.
【治療】
治療目的が緑内障急性期と慢性期で異なります.
緑内障急性期の場合,眼圧を維持し視覚を少しでも温存することが治療目的になりますが,緑内障慢性期の場合では視覚は既に失われているため治療目的は痛みを出来るだけ取り除いてあげることになります.
①緑内障急性期
眼圧降下剤の点眼を行います.しかし,原発緑内障の長期管理は,内科治療(眼圧降下剤)のみでは不十分であり外科治療に譲られます.外科治療は眼房水の産生抑制(蛇口を閉める)と,流出促進(排水溝を作る)の2つの方法があります.
眼房水の産生抑制の方法として,レーザーを用いて毛様体を破壊していき眼房水の産生を抑えます.この手技での1年視覚維持率は50〜53%とされています.
一方で眼房水の流出促進(排水溝を作る)の方法として隅角インプラント術が挙げられます.眼内にシリコン性のチューブを挿入し眼房水の排泄を促します.この手技での1年視覚率は90%程度です.
②緑内障慢性期
高眼圧が長期間続くと,眼球拡張(牛眼)が起こってきます.痛みが続く場合では義眼手術が適応となります.
③対側眼の予防
原発緑内障は最終的には両眼に発症するため,対側眼の予防が非常に重要になります.
海外の報告に,原発緑内障と診断した犬の対側眼に対してβ遮断薬(眼圧降下剤)を用いて予防的治療の効果を調べたものがあります.対側眼が緑内障を発症するまでの期間は無治療群(20頭)では8カ月,治療群(86頭)では31カ月でした.
緑内障は一度発症してしまうと内科的治療にも外科的治療にも苦戦しますが,予防治療でここまで発症を遅らせることができることを考えると非常に意義があるといえます.