〔腫瘍科〕犬の肛門嚢腺癌(肛門嚢アポクリン腺癌) – 千葉seaside動物医療センター|習志野市津田沼の動物病院(千葉シーサイド)
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動物の病気について

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  • [腫瘍]

    〔腫瘍科〕犬の肛門嚢腺癌(肛門嚢アポクリン腺癌)

    【肛門嚢とは?】

    犬,猫の肛門付近には左右2つの小さな袋状の器官があります.肛門を中心として4時と8時の位置で内肛門括約筋と外肛門括約筋の間に存在し,袋内部にある分泌腺(犬では主にアポクリン腺,猫ではアポクリン腺と皮脂腺)からの分泌物を貯留しています.

    正常の肛門嚢貯留液にはアポクリン腺と皮脂腺の分泌物,および脱落上皮や細菌が含まれています.貯留液の色調は褐色,灰色,または淡黄色とされ,濃度は液性〜ペースト状まで様々で通常は貯留時間の経過とともに粘稠性が増加します.

     

    【肛門嚢腺癌とは?】

    犬の肛門嚢腺癌は,肛門嚢のアポクリン腺由来の悪性腫瘍で,肛門周囲腫瘍の17%を占め,早期から所属リンパ節転移が生じやすく初診時に46〜96%の症例にリンパ節転移が認められると報告されています.また,遠隔転移は典型例では病気進行の後期に発生し,肺や腹腔内臓器,腰椎への転移が多いとされます.

    肛門嚢腺癌の約50%には,原発部位および転移部位の腫瘍組織から,PTHrP(上皮小体ホルモン関連ペプチド)の産生が認められ,これが原因で高カルシウム血症が問題となります.

     

    【症状】

    しぶり,会陰部を舐める,排便困難,血便,肛門周囲の腫瘤,多飲多尿(高カルシウム血症によるもの)

     

    【治療】

    治療の第一選択は,外科治療ですが,診断時には高率にリンパ節転移を起こしていることから、術後にも放射線治療や抗がん剤治療を組み合わせることが多いです.内側腸骨リンパ節に転移が認められる場合でも,リンパ節切除を行うことで,生存期間が延長するため可能であれば除去します.

     

    【肛門嚢腺癌の新しい治療薬】

    リン酸トセラニブ(パラディア)は細胞表面に発現するチロシンキナーゼ受容体であるKITやVEGFR,PDGFRなどを阻害する分子標的薬です.

    肥満細胞腫の治療薬として開発されましたが,近年その他の様々な腫瘍でも効果が調べられ肛門嚢腺癌においても効果が認められたとの報告もあります.

    抗がん剤 分裂が盛んな(増殖速度の早い)細胞をターゲット

    ⇒正常細胞を含む不特定多数の細胞が標的となることで副作用が発現

    分子標的薬 細胞の増殖・浸潤・転移などに関わるがん細胞特有の分子をターゲット

    ⇒抗がん剤で生じる副作用は起こらないが,分子標的薬に特有の副作用が発現

     

    〔海外の文献では・・・〕

    32頭の肛門嚢アポクリン腺癌(※28頭で腰下リンパ節,肺,肝臓,その他など全身転移あり)に対し,リン酸トセラニブを投与したところ,8/32頭(25%)でPR,20/32頭(62.5%)でSDと有用性が認められました.PRが認められた期間中央値は22週間,SDが認められた期間中央値は30.5週間でした.

    全頭における治療期間中央値は25週間(範囲0〜47週間)で,リン酸トセラニブの投薬量は,平均2.81mg/kg(範囲2.2〜3.25mg/kg)で,ほとんどの犬で月曜日,水曜日,金曜日の投薬スケジュールでした.

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