
腹腔鏡科
laparoscopy


内視鏡外科手術は従来の開腹手術と比べ傷口が小さく回復が早いため、動物に対して負担の少ない手術となります。一方デメリットとして場合によっては開腹手術より長時間の手術になってしまうこと、高度な技術が必要であることなどが挙げられます。当院の麻酔科や外部の内視鏡外科専門の先生と連携しながら高度で安全な内視鏡外科手術を提供いたします。


内視鏡外科手術とは
内視鏡外科手術とは体に数mmの切開を数箇所加え、そこから専用のカメラと手術器具を入れて行う外科手術です。当院ではKarl Storz社のフルハイビジョンシステムを使用し、鮮明な画面での手術が可能です。
メリット
- ・動物への負担が小さい
- ・臓器の乾燥を防ぐ
- ・拡大された鮮明な視野
デメリット
- ・費用が高い
- ・(場合によっては)手術時間の延長
- ・高度な技術が必要

治療・手術例
surgical example
通常の開腹手術と比べ痛みが少なく、日帰り手術が可能になります(通常の開腹による避妊手術は1泊)。
潜在精巣とは陰嚢内に精巣が降りていない状態のことをいいます。 潜在精巣は正常な精巣に比べて腫瘍化するリスクが高いといわれ、外科摘出が推奨されます。腹腔内に潜在精巣がある場合には 腹腔鏡を使用することで小さな切開創で腹腔内の精巣を摘出することができます。

生検とは病気が疑われる臓器の一部を採取して詳しく調べる検査です。検査のための手術になるので腹腔鏡手術で行うことによりできるだけ動物への負担を軽減することができます。肝臓の生検が多いですがその他の臓器の生検も可能です。

膀胱結石摘出の手術を腹腔鏡で行うことにより通常の開腹手術より傷口を小さくできる他、肉眼では確認できない微小の結石をカメラを通して摘出するので取り残しを極めて少なくすることができます。
消化管などから集められた血液は門脈という血管を通して肝臓に全て運ばれますが、異常な血管(門脈シャント)の存在により門脈血の一部が全身循環に流れてしまう病気を門脈シャントと言います。先天性(生まれつき)の門脈シャントの場合はこの異常な血管を結紮する外科手術が第一選択になり、腹腔鏡手術で行うことで動物への負担を軽減することが可能です。
副腎という臓器は腎臓の近くにあり体の奥深くにあるため通常の開腹手術だと傷口がかなり大きくなってしまいます。また副腎腫瘍を有している動物の中には内分泌疾患を併発し、傷口の治癒の遅延が起こる可能性があります。腹腔鏡手術で行うことで傷口を小さくすることができます。
胸腔内に乳糜(にゅうび)と呼ばれる液体が異常に溜まる病気を乳糜胸といい、治療の方法の1つに胸管結紮という手術があります。そして開胸手術より胸腔鏡手術の方が成績が良いというデータがあります。負担が小さく、治療成績も良いという点で当院では乳糜胸の手術は胸腔鏡手術を推奨しています。