千葉シーサイド動物病院

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〔腫瘍科〕膀胱の移行上皮癌

  • 2016年3月29日

膀胱の移行上皮癌は犬の悪性腫瘍のおよそ2%を占めます.膀胱三角部(尿管が膀胱に開口する付近)での発生が多く,膀胱粘膜における乳頭状病変または膀胱壁の肥厚としてみられます.多くの症例でリンパ節転移や肺転移(しばしば骨にも転移)が生じ,非常に予後の悪い腫瘍となっています.また腫瘍が尿管や尿道などに浸潤し尿路を塞ぐことで排尿困難や腎不全といった重篤な症状を引き起こし,死亡する原因となります.

 

【症状・診断】

初期の症状は、頻尿・血尿・しぶり・不適切な排尿などであり,膀胱炎や膀胱結石の症状と非常によく似ています.当院では尿検査時に必ず超音波検査を行うことで,これらの疾患の鑑別を行なっています.

移行上皮癌 エコー

①超音波検査の注意点として,膀胱内に腫瘍性病変を認めても必ずしも全てが移行上皮癌ではないという点です.慢性膀胱炎の粘膜肥厚や,乳頭腫,平滑筋腫などの良性腫瘍と見分ける必要があります.これらの良性病変と移行上皮癌は画像検査のみでは鑑別できないため,尿沈渣の細胞診が重要となってきます.

 

②細胞診より,異型性の強い移行上皮細胞が認められれば移行上皮癌を強く疑うことができますが,中には異型性に乏しい移行上皮癌も存在するため,画像検査と細胞診だけでは診断が困難な場合も少なくありません.

移行上皮癌 細胞診

2015年に犬の移行上皮癌と前立腺癌に特異的な遺伝子変異が報告されました.③BRAF遺伝子検査とは,尿に含まれる移行上皮細胞の遺伝子変異を検出する検査で,高い感度と特異度を持った検査として注目されています.

移行上皮癌 遺伝子検査

移行上皮癌 遺伝子検査②

 

【治療】

一般に腫瘍の三大治療と言えば外科治療,放射線治療,抗がん剤治療があり,固形癌の治療といえば外科手術による根治的治療が第一選択となりますが,移行上皮癌は①切除しにくい膀胱三角部での発生が多いこと,②浸潤性や転移率が高いことから外科的切除で完治が望めるチャンスが少ないです.外科手術で不完全な切除であったり,既に転移が認められる場合には,抗がん治療を行います.

現在,3週間に一度のミトキサントロンの静脈内投与とピロキシカム(抗炎症剤)の内服による治療が有用と考えられており,当院でも取り入れています.

過去の報告では,ピロキシカム(抗炎症剤)単独であれば,反応率は18%,PFI(progression free interval)は4.3カ月,生存期間中央値は5.9カ月でした.ピロキシカムと抗がん剤であるミトキサントロンを組み合わせた治療では,反応率は35%,PFIは194日,生存期間中央値は291日でした.

移行上皮癌に対する外科手術は,これまで膀胱部分切除や膀胱全摘+尿管結腸吻合術が行われてきましたが,高い再発率や手術後の合併症のために長期予後は得られませんでした.近年,新たな術式として膀胱全摘+尿管膣(♂では尿管包皮)吻合術が報告されおり,以前の術式と比較し術後合併症リスクの減少も認められていることから,有効な治療法となる可能性があり,当院でも積極的にこの術式を用いるようにしています.

移行上皮癌 手術

 

千葉シーサイド動物病院
Tel.047-407-0027

診療時間

午前 9:00~12:00
手術 12:00~15:00
午後 15:00~19:30
夜間救急対応 20:00~23:00

対象動物
犬、猫

アクセス

〒275-0016
習志野市津田沼3-10-13
グレースK津田沼1-A