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〔腫瘍科〕犬の甲状腺腫瘍

  • 2015年10月25日

犬の甲状腺腫瘍は9〜11歳の高齢犬に多く,ゴールデンレトリバー,ビーグル,ボクサー,シベリアンハスキーなどが好発犬種に挙げられます.

発生率は全腫瘍の1.1〜3.8%と低いです.

甲状腺腫瘍はほとんどが悪性腫瘍である甲状腺癌で,良性腫瘍である甲状腺腫は1割以下です.

 

【症状】

甲状腺癌のほとんどは非機能性腫瘍で甲状腺ホルモン(T4)の上昇は認めないため,喉にしこりがあるという症状以外ほとんど認めません.よって,日頃からの触診や病院での身体検査が大切になります.喉のしこりが大きくなると,息が荒くなる,咳こむ,嚥下障害,喉頭麻痺などの症状が認められるようになります.

甲状腺ホルモンの上昇を伴う機能性腫瘍では,甲状腺機能亢進症に関連する症状(多食,体重減少,多飲・多尿など)が認められます.

ある報告では甲状腺癌の60%で甲状腺機能正常,30%で甲状腺機能低下(腫瘍によって甲状腺組織が破壊),10%で甲状腺機能亢進があったといわれています.

 

【診断】

甲状腺癌のほとんどは非機能性なので,頸部のしこり以外に症状を認めないことが多いです.頸部にしこりを作るようなリンパ節疾患,唾液腺疾患,膿瘍,肉芽腫などと鑑別していく必要があります.頸部のレントゲン検査超音波検査や,しこりに針を刺して細胞を評価することで診断していきます.

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次に可能であればCT検査を行い,甲状腺腫瘍の血管内進展の有無,リンパ節転移(下顎リンパ節,内側咽頭後リンパ節)や肺転移の有無を評価します.甲状腺癌が血管内に進展していたり,腫瘍サイズが大きかったり,腫瘍が両側性に存在する場合はリンパ節や肺に転移している頻度が高いです.ある報告では,腫瘍サイズが23cm3を超えると転移率が増加し,100cm3を超えると100%ともいわれています.また両側性に甲状腺癌が発生した場合,片側性と比較し約16倍も転移しやすいといわれています.

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【治療】

外科手術が第一に選択されますが,しこりの大きさや,周囲組織への浸潤の程度,遠隔転移の有無などによっては外科手術が適さない場合もあります.この際にしこりの可動性が重要になってきますが,しこりがどの方向にも動かない場合には,頸動脈,頸静脈,反回神経,食道などに浸潤している可能性が高く手術のリスクも高くなります.

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また甲状腺癌は左右両側に発生することも少なくない(ある報告では60%程度)ため,両側の甲状腺を摘出した場合には,術後に甲状腺ホルモンや上皮小体から分泌される副甲状腺ホルモンを服用する必要があります.2012年の報告では,両側の可動性のある甲状腺癌を摘出した15頭の犬の生存期間中央値は38,3カ月であり,術後に必要なホルモンを追加してあげることで長期にコントロールできることが示唆されました.

抗がん剤治療(ドキソルビシンシスプラチン)は,手術ができない場合や,遠隔転移がある場合に選択されますが部分寛解(しこりが50%以上縮小)が認められるのは30〜50%と高くありません.

 

 

 

 

 

 

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